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ご挨拶

イーハトーブの地で、みなさまにお会いするのを⼼待ちにしております。イーハトーブは宮沢賢治の⼼象⾵景では理想郷とされています。岩⼿⼤学の卒業⽣である宮沢賢治は、『銀河鉄道の夜』『注⽂の多い料理店』など多くの作品を残しましたが、どの作品も「スピリチュアリティ」や「死」、「⼈間愛」をテーマとしています。

本⼤会のテーマは『家族・スピリチュアリティ・美』です。これまでの家族⼼理学会では様々なテーマが取り上げられてきましたが、このたびは新たなる挑戦として「スピリチュアリティ」や「美」というものに向き合ってみたいと思います。スピリチュアリティは超越的なものに対する考え⽅や態度とされています。私たち⼼理臨床家は⾃⾝の認知や経験の枠を超え、理解の外にあるような超越的なものにどのように対応しているのでしょうか。たとえば、神や仏や⾃然、また、突然降りかかったコントロールできない苦境、なぜ今それが⾃分に訪れたのかがわからない困難、そして⾃⾝の「死」も未経験なので超越的です。

⼀⽅、美しさは抽象的で捉えどころがありません。美しさの本質とはいかなるものなのでしょうか。ベイトソンによれば、その対象の中に美しさが存在するのではなく、その対象と⾃⾝の体験が結び合わさった結果だと述べています。その対象というのが超越的なものなのだと思います。たとえば、⼣焼けが美しいと感じるなら、⼣焼けと私の中にあった体験がつながったことになるのです。つまり、美は関係性において感知されるのです。

私たち⼼理臨床家は⼈間のこころを対象とした科学者であり、かつ、科学の限界を認めながら超越的なものへのアクセスをも⾏っているのだと思います。科学と超越性のいずれにも偏らない、結論を出さないという選択が重要なのではないでしょうか。本学会を通してみなさまと議論を深めたいと思っております。

岩⼿⼤学は、神々しい岩⼿⼭が⾒渡せる広⼤なキャンパスを有し、⾃然豊かな恵みの⼤地に⽴脚しております。スローガンは『グローカル』、グローバルでローカルを⽬指し、岩⼿の「⼤地」と「ひと」と共に、学びを追求しております。是⾮、イーハトーブに⾜をお運びください。⼤会準備委員⼀同、皆様のご参加を⼼よりお待ちしております。

日本家族心理学会 第36回大会
大会主催校 岩手大学
大会準備委員長 奥野 雅子